■ヒューマン・ヘルスケア企業を目指す
エーザイは、「患者様と生活者の皆様の喜怒哀楽を考え、そのべネフィット向上を第一義とし、世界のヘルスケアの多様なニーズを充足する」という企業理念を掲げ、それをhhc(ヒューマン・ヘルスケア)と称した。hhcでは、企業の目的は業績ではなく、患者様のベネフィット向上だとしている。
hhcについてはこちら
http://www.globalcsr-pfc.com/takayama/
■「顧みられない熱帯病」の制圧に向けて共闘する声明
2012年1月に、エーザイは、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団、世界保健機構(WHO)、米国および英国政府、世界銀行などと共に、2020年までに「顧みられない10の熱帯病(Neglected Tropical Disease)」の制圧に向けて共闘していくという共同声明「ロンドン宣言」を発表した。エーザイのほか、世界大手13社が加わり、過去最大の官民パートナーシップが構築された。
エーザイは、リンパ系フィラリア症制圧のため、DEC(ジエチルカルバマジン)というくすり22億錠を無償で2020年までWHOに提供する。リンパ系フィラリア症は、熱帯の貧困地域に多く見られる病気で、リスク患者は世界37か国に2.5億人いるといわれている。
発症した患者は、発作や障害によって働けなくなったり、特有の外見的症状により差別を受けたりしてすることもあるという。
エーザイは、この取組みはCSRではなく、ビジネス上の投資だと強調する。新興国の健康福祉を向上して、経済発展や中間所得層の拡大に寄与することは、将来の市場形成への長期的な投資だという主張だ。
■hhcとしての取り組み
また、エーザイは、経営理念であるヒューマン・ヘルスケア(hhc)の一環として、本事業を位置付けている。単にくすりを届けるだけではなく、予防のための蚊帳を配布したり、疫病と感染に関する啓蒙活動を行なったりといった多層的な支援活動を展開している。集団投与の現場を本社スタッフが視察することもあり、社員のモチベーション向上に寄与しているという。
■より多くの人にくすりを届けるためのTiered Pricing ポリシー
同社は、世界でより多くのくすりを必要とする人々のために、顧客の所得レベルに合わせ価格を変えるというTiered Pricingポリシーを、ハラヴェンなどの治療薬をインドにおいて適用している。その結果、患者アクセスは8倍に拡大し、より多くの患者を救うことができるだけでなく、原価低減を実現することができるという。