2006年12月号のハーバードビジネスレビュー誌に、ハーバードビジネススクールのマイケル・ポーター教授が、マイケル・クレーマー氏と共に著した「競争優位のCSR戦略」という論文が発表された。戦略論のカリスマであるマイケル・ポーターがCSRに言及したこと、そしてその論文が権威あるマッキンゼー賞を受賞したことから、経営やビジネスの本流にCSRが位置づけられる大きなきっかけとなった。
2011年には、上記の考えが「CSV」(Creating Shared Value=共有価値の創出)という概念に昇華された論文が発表された。
CSVとは、社会問題の解決と企業の競争力向上を両立させ、企業と社会の双方に価値を生み出す取り組みを指す。
従来型CSRは、社会問題の解決と、企業の使命であるとされてきた利益の最大化を別枠としてきが、この考え方の限界を指摘。さらに利益の最大化だけを目的とする資本主義がもたらす社会の限界をも指摘し、この2つを乗り越えるものとして、CSVを提唱した。
このCSVという新たな社会的価値を創造することで、経済的価値をも創造する方法としては、「製品・サービス」「バリューチェーン」「競争基盤/クラスター」の3つのアプローチを以下のように提示している。
・製品と市場を見直す
・バリューチェーンの生産性を再定義する
・企業が拠点を置く地域を支援する産業クラスターをつくる
出所:
・Society and Strategy, Michael E. Porter and Mark R, Kramer, Harvard Business Review 2006.12
・Creating Shared Value, Michael E. Porter and Mark R, Kramer, Harvard Business Review 2011.1