【オピニオン】OKRで世界を揺るがす? ~今、話題のOKRの本質とは | 黒田由貴子(PFC)

黒田由貴子
(株)ピープルフォーカス・コンサルティング  取締役・ファウンダー

OKRとは
OKRは「Objective」と「Key Results」の略語であり、Objectiveは「目標」、Key Resultsは「求める主要な結果/成果指標」を指す。目標管理手法のひとつであり、グーグルやフェイスブックを始めとしたIT系の先進企業が採用していることで知られる。国内では花王が2020年12月に発表した中期経営計画の柱に据えて以来、「伝統的な日本のメーカー」でも採択しうる手法なのかと、にわかに注目を浴びつつある。OKRを導入するメリットとしては、以下が挙げられる。
・よりチャレンジングな目標を追求することで、イノベーションを促進する
・高速でPDCAをまわすことで、激しい環境変化に対応しやすくなる
・全社的に目標を連動させることで、組織としての整合性や連携が図れる。また、従業員にとって自分の目標と大目標とのつながりが見えるので、エンゲージメントが上がる。

OKRの真髄は「O」にある

「先進企業の手法を真似てみるも、取り入れ方が形式的で結局機能しなかった」というのは、OKRに限らず、ありがちな話だ。花王の場合は、OKRの本質をよく捉えているようなので心配はしないが、巷に溢れるOKRの説明を見ると、安易に導入して失敗する企業が相次ぐのではないかと心配だ。
一見するとOKRは従来の目標管理制度とはさして変わりないように見える中で、明らかに従来と異なるのは、次の特徴だ。

「従来の目標管理制度では、目標は100%達成されることを前提に設定されていたのに対し、OKRのKR(主要な結果)では、達成率60-70%で良しとする。」 この説明自体は間違いではないが、これを見た社員はほぼ例外なく、「であれば、従来なら100を目指すとしていたところを160に設定すればいいのだな」と思うだろう。となったら、OKRを導入したところで、実質的には何ら変化は起きないことになってしまう。

SDGsもカーボンニュートラルもOKR的

私は、OKRの真髄は「O」にあると考える。「O」は、目的や大きな目標という意味だが、「大志」と定義したほうが、本質が伝わるかもしれない。組織と個人が本心から「とてつもなく難しいが、これを成し遂げたら素晴らしいことになる」と感じられるものかどうかということだ。その意味では、SDGsはOKR的である。17の目標は「O」、そして各目標の下に列挙されている具体的なターゲットは「KR」といえる。

たとえば

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